はじめに
さて、前回、経済観念と資本主義の話を少ししたので、今回は少しだけ資本主義的に日本を見て見ようと思います。 社会人の方と話す機会を結構いただくのですが、意外と日本の指標を捉えていないケースが多く、さらに世界各国と比較することも少ないようなので、今回は主要な指標ともいえる「GDP」・「平均給与」・「労働生産性」についてです。
GDPについて
よく学校でも学んだGDPですが、社会人になるとちゃんと捉えていない会社員が多いです。GDPは「名目」と「実質」がありますが、貨幣価値の変動などを考慮した「実質GDP」が良く使われるのでここだけでも把握しておきましょう。
ネットで調べればすぐに出てくるので細かい表などは省略しますが、2020年で実はインドに抜かれて世界4位になっているというデータもあります。
・名目では世界3位ですが、実質だと4位。
さらにドイツにも追いつかれそうで、GDPも日本は超ゆっくりしか上がっていないのがわかります。アメリカ、中国、インドにはすでに追いつけなさそうな状態です。
平均給与について
次に平均給与を世界の中で見ていきたいと思いますが、ネットで調べれば出てくるので細かい表は割愛しますが、実はこれも2000年ごろ(22年前)ですでに17位で、2020年には22位に下がっているなんてデータが出てきます。現在公開されている最新の国税局のデータ(令和2年度)では日本の平均給与433万円、中央値399万円だったそうです。(平均勤続年数12年くらい)
これは相当に夢がない数字と感じてしまいますが、そのため子供の教育費などが必要な世帯は共働きせざるを得なくなっている状況かと推測できます。そもそも、日本は昔から経済大国と言われていても平均給与は高くなく、給与が上がる仕組みも意外と整っていません。大企業のトップになっても3000万円~5000万円程度しかもらえないことが多く、海外のトップと10倍以上ひどいと100倍くらい差があったりします。
では、なぜこのようになってしまうのか。それ次の労働生産性が関係してくると思われます。
労働生産性とは
厳密な定義を読むとゲンナリするので、超要約すると「労働生産性が高いと労働者が生み出す利益が高い。低いと生み出す利益が低い」と考えましょう。
詳しく知りたい方はこちら:(参考)https://bowgl.com/labor-productivity/
日本は2018年で21位となっており、前後にイスラエルやトルコが並んでいます。さらに過去からの平均年間労働時間の推移を見ると、1985年バブル景気の辺りでは世界でぶっちぎりに働いています。1990年以降労働時間がどんどん低下していき、現在につながっているのですがこれらを考えてみると、バブル期で経済大国になったのは労働生産性の悪さを「労働時間」でカバーしたと言えるかと思います。
1988年に「24時間戦えますか?」のキャッチコピーで一世を風靡した「リゲイン」も有名ですが、本来は日本人の働き方は効率重視ではなく、労働時間重視だったことがわかります。それが近年では残業時間の抑制、労働の効率化など過去から行っていない苦手な方向に社会が向かっており、それに馴染めず苦戦している様子がよくわかります。

まとめ
以上、本日は「GDP」と「平均給与」・「労働生産性」を簡単に見ましたが、これだけでも今後に資本主義で勝ち抜く人材や企業になるために必要なことが理解できると思います。
- 企業の労働生産性を上げ、利益の出せる体制を整える。
- 出た利益で労働生産性の高い社員給与を上げていき、労働生産性の低い業務を効率化する。
- そのため、社内整理を行い自動化、手順化、簡素化ができる業務を迅速に検討する。
- これらを改善していけばDX(デジタルトランスフォーメーション)になる。
従来の仕事を何も考えずに実施する人材ではなく、常に創意工夫と改善を考えられる人材になることが重要とお伝えしたい部分です。